僕がヨガに対して出会った頃からライフワークになるような予感がしていたのは、ヨガが生き方そのもの、世の中の捉え方、哲学的な所を感じたからだろう。
ケン・ハラクマさんの著書「ヨガから始まる」はケン先生の人生を通じて
ヨガ的な生き方、ヨガ的な物の見方を教えてくれた。
その教えは僕の暗黒時代において、まさに光そのものだった。
(しかし、その暗黒時代ももしかしたら、ヨガの本質に出会う為に必要な
時期だったのかもしれないと今は考えている。)
僕はケン先生の情報をインターネットで調べ、千葉で行われるヨガ合宿に
参加する事にした。
千葉のとある駅に到着し、ホテルの用意したバスに乗り込む。
参加者30人ぐらい。
ホテルに到着し暫くするとケン先生とお付きの女性の方が到着した。
ケンさんはとても自然なオーラをまとった方だった。
ヨガの練習はレッドクラス(先生のカウントに合わせて皆で同じようにポーズを進めて行く)で行われた。その当時の僕はアシュタンガヨガのプライマリーシリーズもあまり分からず、出来るポーズといえば、太陽礼拝A,Bぐらいな物だった。
なのでクラスの後ろのほうで見様見真似でゴロゴロ転がっているだけだった。
何とか一日目を乗り切り、宿泊するコテージに戻った。男は3人だけなので必然的に同じコテージとなる。同じコテージのお二方は自分より4,5歳年上でヨガ歴も長く、プライマリーシリーズは一通りこなせセカンダリーシリーズに取り組んでいるような方達だった。
それにしても、彼らは本当に若々しく年相応に見えない。
誰かが、「ヨガをすると年を取らなくなる」と表現していたが、それを地で行くような方々だった。
そもそも、この合宿自体講師を目指してるぐらいのレベルをターゲットにしているらしく、随分と場違いな所に来てしまったと少しだけ後悔したが、もう後戻りは出来なかった。
二日目、体はボロボロなのだが、ケン先生のカウントに合わせて転がり続ける。
僕はずっとヨガマットの前にペットボトルを置いて喉が渇くと水を飲んでいたのだが、ヨガの最中は体の中でエネルギーが燃えている為水を飲んではいけない事を教えてもらった。
何度か、ケン先生に声を掛けてもらったのだが、全然体が付いて行っていない事を話すと。「全然大丈夫。十分動けてますよ。」と言って頂けた。
ケン先生は、穏やかで時に面白い事を言って場を和ませた。ただ、いつも自然体だった。
後から思えば、このいつも自然体でいる事、これがケン先生の偉大な所なんだろうなと思った。
三日目、最終日、体は疲れ切っていたが、心身共にクレンジングされ新しく生まれ変わったような爽快感があった。
最後の食事を終えると、ケン先生との写真撮影やサインをしていただける場を設けてくれたので、僕は持って行った青い本にサインをしてもらった。
そして、ケン先生は次の地へと旅立って行った。
僕はバスの時間まで時間があったので、近くの森を散策したり、温泉にはいったり休憩室で仮眠をとったりした。
光が降り注ぐ休憩室で、何かに捕らわれていた心が解放されていた。
暗黒時代、僕は社会から否定されているような気がしてた。
でも自分は自分の味方である事も出来た筈だ。そんな事を考えていた。
合宿を通じて、改めて自分にとってヨガは必要な存在だったんだと確信した。
そして、ケン先生との出会い。
大切なものは全て自分の中にあるから大丈夫。
そんな事を教えてもらった気がした。
本当の意味でヨガと出会ったのはこの合宿だった。